ドレイク、ザ・ウィークエンド、トロント出身アーティストに続くR&BシンガーEbhoniが注目される理由【Virgin Music Japan Picks】
執筆: RUPIN(Virgin Music Japan Staff)
インディー音楽シーンで注目され始めた新世代の洋楽アーティストをいち早く紹介する本企画「Virgin Music Japan Picks」。第2弾は、カナダ・トロント出身のシンガーソングライターEbhoni(イボーニ)を紹介する。
Ebhoni Cato-O’Garroは現在21歳のR&Bシンガー。アンティグア・バーブーダとジャマイカにルーツを持つ家系に生まれ、多文化を誇る西トロントで育った。トロントと言えば、DrakeやThe Weeknd、Tory Lanez、NAVなど、近年ヒップホップ/R&Bシーンの重要人物たちが育った音楽都市であり、そうした中でEbhoniは、トロント発次世代R&Bアーティストでは最も世界に近い存在とまで評価されている。
ポップな見た目でファッションアイコンとしても活躍するまさに注目の「Bad Gyal」だ。しかし、彼女の人生は困難の連続だった。ドラッグディーラーの父と離婚し、現在もマネージャーを務める母親とともに二人三脚で歩んできた。
10歳から音楽制作を始めた彼女は、程なくしてYouTubeに楽曲の投稿を開始し、ビヨンセやキーシャ・コールなどのカバーを公開するYouTuberとして注目を浴びる。その後、自ら作曲したオリジナルを公開し、同世代のファンを徐々に獲得していった。2017年にSoundCloudで公開したEP『Mood Ring』は瞬く間に200万回ストリームの人気を集めた彼女の存在は、早くからFaderやComplex、Pitchfork、VICE 、HYPEBEAST、Red Bullなど、カルチャー・メディアによってフックアップされてきた。Pitchforkはレビューで「女性のためのトロントのR&B王座を取り戻している」とEbhoniを評価している。2018年から本格的にシングルリリースを行ってきた彼女は今年、YouTube Musicが主催する、若手インディーアーティストを世界的にサポートするプログラム「YouTube Music Foundry 2021」にも選出されており、文字通り今注目の新人R&Bアーティストの一人である。
自身の経験を取り入れる彼女の音楽センスにおいて、本能に訴えかける素直なリリックが特徴的だ。
今年5月に公開されたシングル「Rep It」では、最悪な男性との恋愛を歌い、憂鬱で暗い時間を振り返り、二度と同じような失敗はしないという強い意志が感じられる。
もう一つの特徴は、彼女の多様な感性を最新のR&Bやレゲエ、アフロビートと融合する制作陣だ。7月にリリースした最新のミックステープ『Good Dick & Weed』に収録された先行シングル「Hit This」は、グラミー賞受賞プロデューサーのIzyBeatsがプロデュース。官能的でありながらパワフルなボーカルとアフロビートの影響を受けたサウンドは彼女の魅力がつまったトラックとなっている。Ebhoniのリリースには近年のヒップホップやレゲエ、ラテンシーンを牽引する若手プロデューサーたちが携わっていることにも注目したい。
・IzyBeats(Jorga Smith、Koffee、Tory Lanez)
・DP Beats(Soulja Boy、Lil Uzi Vert、Chief Keef、Trippie Red)
・Alex Lustig(PARTYNEXTDOOR、Machine Gun Kelly)
・FORTHENIGHT(Bad Bunny、Don Toliver)
音楽活動に加えて彼女は現代の女性像を体現するカルチャーアイコンとしても認知が広がっている。代表的な活動は、不動のR&B女王リアーナのファッションブランド「SAVAGE X FENTY」のモデルに起用されたことだ。最初は偽のオファーだと思い全く信じなかった彼女は当時の心境をPitchforkのインタビューでこう語る「ただ幸せでとても感謝したわ。とってもクレイジーだった」。こうしてEbhoniはモデルとして活躍するきっかけを掴んだのだ。それ以外ではAdidasとのキャンペーンにもモデルとして参加してきた。
さらにEbhoniの活躍は音楽面だけではない。トロント市内で特に黒人や移民が多く住む地域で育った彼女は、自身のバックグラウンドを 「私が誰であるか、私の性格、私の音楽と非常に関係がある。」と語る。黒人クリエイターたちとMVを撮影したり、黒人の経営者をサポートする活動を、音楽を通じて行っており、社会面でも積極的なコミットメントを示す。多様性高いトロント発の”Bad Gyal”の今後の活躍に目が離せない。
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バイオグラフィー
Ebhoniカナダ・トロント出身の新鋭R&Bシンガーソングライター。Drakeが幼少期を過ごした西トロントで生まれ、カリブやジャマイカをルーツに持つ家庭の影響でヒップホップやレゲエなど多様なジャンルやカルチャーに親しむ。10代からYouTubeにカバー曲を投稿し始め、2017年にSoundCloudで公開したEP『Mood Ring』で新世代のR&Bアーティストとして一躍注目を浴びる。その後も「Opps」「TGM」「Drama」とシングルリリースを続け、Pitchforkから「トロントのR&B王座を取り戻した女性」と称されるほか、ComplexやFADER、HYPEBEASTなど多くのメディアに取り上げられる。
R&Bにヒップホップやダンスホールの要素を内包したビートとメロディーラインに、現代の女性像を反映する直感的なリリックが同世代から支持を集める。2021年2月にEP『X』、さらに7月にミックステープ『Good Dick & Weed』をリリース。
作品情報
EP:『Good, Dick & Weed』
発売日:2021年6月24日(木)
レーベル: True Panther/Harvest
◆トラックリスト
1.IYKYK
2.Come Over (feat. Beam)
3.Rep It
4.Rotation
5.Be A Man
6.Westwood
7.I Try
8.Think
9.Truth Say
10.Wilshire & Bixel