イギリス音楽界を席巻する若手UKラッパー、Daveが注目される理由。Stormzyと比較される若き才能を紐解く
Written by Virgin Music Japan Staff
イギリスの音楽シーンを代表する音楽の祭典「ブリット・アワード」。英国版グラミー賞とも言える同アワードは、2022年は現地時間2月8日にロンドンのO2アリーナで開催となる。イギリス国外の視聴者にはYouTubeチャンネルでも配信されるように、音楽のトレンドや今後活躍が期待されるアーティストに注目が集まるイベントとして今や世界中から注目が集まる。
今年のブリット・アワードでは、最多の4部門にノミネートされたアーティストは、エド・シーラン、アデルという近年のイギリス音楽の代名詞といえる二人だが、その間に割って入るのが、フィメール・ラッパーとして活動するロンドン出身のリトル・シムズ。そして、昨今のUKヒップホップ・グライム・シーンで一際注目と評価を高めている若手ラッパーのDave (デイヴ)だ。
1998年生まれのDaveは23歳と若手ながら最優秀アーティスト賞にノミネート。加えて、2ndアルバム『We’re All Alone in This Together』が最優秀アルバム賞、「Clash feat. Stormzy」が最優秀楽曲賞、そして今年から新設された最優秀ヒップホップ/グライム/ラップ・アクトでノミネートされた。
インディペンデントなアーティストとして、高いラップスキルとストーリーテリングが評価されてきたDaveは、若くしてStormzyやKano、Ghetts、J Husなど、UKヒップホップやグライム・シーンを代表するアーティストたちと比較されるほどだ。
彼の名声が世界的に広まったと言えるのが、2021年にリリースされた最新アルバム『We’re All Alone In This Together』だ。彼独特の音楽性とコンシャスなリリックなどがロンドンの若者層を代弁する作品として、2021年を象徴するヒップホップ・アルバムと言える。
インディペンデントなリリースであるにも関わらず同作はデビュー週でイギリス・アルバムチャート1位を獲得。Apple Musicでも31カ国のアルバムチャートで1位を獲得した。彼は2019年のデビューアルバム『Psychodrama』でもアルバムチャート1位を取っているだけに、今作は彼のアーティストとしての地位を確立させただけでなく、UKヒップホップというジャンルの人気と勢いをメインストリームな音楽シーンに押し広げて代表作となっている。
商業的成功に加えて、NMEやGigwise、HipHopDXなどの音楽メディアの評論家からは高評価を得ており、ザ・ガーディアンやインディペンデント、イブニング・スタンダードなどが選ぶ2021年ベスト・アルバムに選出されるように、本作を通じてDaveの影響力と注目は、世界的なメインストリーム・メディアへと広がっている。
もう一点、『We’re All Alone In This Together』で見逃せないのは、「Clash」ではStormzy、「Both Sides of a Smile」ではJames Blake、「System」ではアフロビート・シーンの注目MC、ナイジェリア出身のWizkidとコラボレーションしているように、ゲストアーティストや楽曲制作の多様性の高さだ。ヒップホップやグライムが彼のルーツであることに変わりはない。そこに、アフロビートやゴスペル、エレクトロニカ、ドリルなどの要素を楽曲に取り入れたり、ギターやピアノ、サンプリング音を匠にかぶせた音作りが随所に聞こえる。例えば、UKヒップホップ界トップMCのFredoやGhetts、Meekz、Giggsが参加し、昨今のヒップホップ曲では異質の7分以上もある「In The Fire」は、カニエ・ウェスト・スタイルのコール&レスポンスが聞こえてくるように、Daveのクリエイティブな側面からは、UKヒップホップの可能性と方向性を示しているとも言えるはずだ。
23歳という若さでファンや評論家から一目置かれる存在となったDave。彼は、ナイジェリア移民の両親の元に生まれ、サウスロンドンで育った。2015年頃からフリースタイル・ラップを披露し始め、UKヒップホップ界隈のインフルエンサーやYouTubeチャンネルから注目を浴び、2016年にはAJ Traceyをフィーチャリングしたシングル「Thiago Silva」がYouTubeやSpotifyなどで話題を呼ぶ。同年にデビューEP「Six Path」をセルフリリースし、イギリスのインディペンデント・アーティスト・チャートでトップ20入を果たす。
Daveの名前が注目を浴びたのは、2016年にDrakeをフィーチャリングした「Wanna Know」(Remix)だ。2017年にはDrakeのロンドン公演でパフォーマンスを披露し、Drakeのミックステープ『More Life』にDaveもフィーチャリングされた。同年にはMOBOアワードで新人賞を受賞。2018年ブリット・アワードでは「ブリティッシュ・ブレイクスルー・アクト」にノミネートされ、DrakeとOVO Soundのフックアップによって、イギリス注目の若手ラッパーとして脚光を浴び始める。
2019年にインディペンデント・リリースとなったデビュー・アルバム『Psychodrama』では、2019年のマーキュリー賞、2020年のブリット・アワードで最優秀アルバム賞を受賞した。
ブリット・アワードでの4部門最多ノミネート。『We’re All Alone in This Together』での成功。これらはDaveにとって通過点に過ぎない。彼の作品は、イギリス国内のシーンに留まらず、グローバル・アーティストとしてのDaveの存在を世界に刻みつつある。より大きな舞台で飛躍が期待されるDaveの挑戦は2022年も続くだろう。
<リリース情報>
アルバム『We’re All Alone In This Together』
2021年7月23日(金)配信
Label: Virgin Music Label and Artist Services
<Track list>
1.We’re All Alone
2.Verdansk
3.Clash feat. Stormzy
4.In The Fire
5.Three Rivers
6.System feat. Wizkid
7.Lazarus feat. Boj
8.Law Of Attraction feat. Snoh Aalegra
9.Both Sides Of A Smile feat. James Blake
10.Twenty To One
11.Heart Attack
12.Survivor’s Guilt
<バイオグラフィー>
1998年、サウスロンドン生まれ。その稀なるリリシストとしての才能で、現代のイギリスを代表するラッパーでありながら、シンガー・ソングライター、プロデューサー、そして俳優としても活躍しているデイヴ。NARUTOや、ドラゴンボールといったアニメからも多大な影響を受けており、2016年に発表した1stEP『Six Paths』のジャケット写真はNARUTOがモチーフ。2019年にリリースされたデビュー・アルバム『Psychodrama』が全英No.1を獲得し、当時UKラップアルバムとして、初週最高のストリーミング再生回数を記録。Mercury Prizeを受賞した他、2020年のBrit AwardsではAlbum of the Yearを受賞。Netflixの「Top Boy」のシーズン3で俳優デビューもしている。2021年には、イギリスはマンチェスターにて9月に開催されるPARKLIFEフェスティバルで初のヘッドライナーが決定している他、7月には待望の2ndアルバム『We’re All Alone In This Together』をリリース。<日本公式アーティストページ>
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