【2021年上半期ベスト】Virgin Music Japan ベスト・ソング・レビュー vol.1

恒例になりつつある企画、Virgin Music Japanスタッフが厳選する年間ベストソング5選。2020年から続くパンデミックが根強く生活に影響する中でも、絶えることなくリリースされる新たな楽曲があり、たくさんのオンラインライブが開催され、規制をかけながら徐々に蘇るライブハウス/クラブシーンの息吹を少しずつ感じることができるようになってきた2021年上半期のベストソングを、Virgin Music Japanの4人のスタッフが紹介。トップバッターは、インターンとして活躍するカジのセレクト。


★ Virgin Music Japan Staff:カジ
好きな飴はパインアメ。「レトロ」と「最先端」を行き来したいと思う今日この頃。


【Virgin Music Japan TOP 5 Songs】 (順不同)


■ Wolf Alice “Smile”


そうだ、UKには彼らがいた!素晴らしすぎる…。圧倒的貫禄を身につけたWolf Aliceの壮大なスタジアムロック。沸々と煮えるベースラインにEllieのウィスパーボイスがレイヤーする。冷ややかさと熱が交互に入り混じった、センス爆発のキラー。凄まじい進化を遂げた傑作3rd、これは必聴。

■ Tex Crick “Peaches & Cream”


Mac Demarcoのレーベルが新たにサインしてリリースするのはオーストラリアのSSW、Tex Crick。Iggy PopやWeyes Bloodのサポートキーボードを務めた経歴のある実力派。カーペンターズら70sバロックポップを踏襲したレトロで温かみのあるサウンドに、思わず肩の力がスウっと抜ける、しっとり極上バラード。ステイホームのお供にぜひ。

■ Drug Store Romeos “What’s On Your Mind”



「ドリームポップ」と一括りにしてしまってはもったいないような、圧倒的空間拡張センス。後半にかけて加速するBPMや、ミニマルながらも丁寧なドラム。細部へのこだわりから生まれる独特の浮遊感はまさしく「ネクストウェーブ」。

■ St. Vincent “The Melting Of The Sun”



「ロックの殿堂」入りを果たした「生ける伝説」、St. Vincent。本当にさすがです!60~70年代のヒッピーカルチャーを飲み込んだサイケデリックなナンバー。芳醇な彼女のボーカルとヒプノティックなギターが美しく交差する。これまでのキャリアを振り返りつつも、いまだ革新性をもって突き進む姿勢が表れた20年代の名曲。

■ 安部勇磨 “おまえも”



never young beachのボーカルでおなじみ、安部勇磨がソロデビュー。バンドで展開するトロピカルで温かいムードはそのままに、「古き良き日本のポップス」的なエッセンスを盛り込んだ一曲。Mac Demarcoにも通じるルースでトリッピーな空気感は、テン年代前半のUSインディーのバイブスとも共鳴。次世代の日本のポップスをけん引するに違いないという希望を感じる。


【All Genre TOP 5 Songs】(順不同)


■ Squid “Narrator feat. Martha Skye Murphy”


今はとにかくUKがアツい!今年のハイライトにして、時代を変える超大型新人Squid。昨年Warpと電撃契約した彼らだが、レーベルカラーに馴染みつつも、革新的なデビューアルバムをドロップ。クラウトロックの実験性と鋭利なポストパンクとが見事にリンクし衝撃を生む。今最もエキサイティングで、今後の動向がますます楽しみなバンド。来日お願いします!

■ Holy Hive “I Don’t Envy Yesterdays”


最近ひそかなマイブームとなっているのがヴィンテージソウル。特にHoly Hiveはかなり好きで昨年のデビューアルバムは聴きまくっていたが今回もたまんないね!チカーノの流れをUSインディーに落とし込む感じや、ブルックリンのスタイリッシュな風景に同化させるセンスの良さ。聴き入っては眠りに…。

■ Max Bloom “Palindromes”


今年惜しくも解散してしまったテン年代を代表するバンドYuck。そのフロントマンであったMax Bloomのソロ第2弾リリース。「Glow & Behold」期のYuckへと遡り、そこにReal Estate周辺の涼しい風を 吹き込んだようなライトなメロディー展開に思わず涙する4分間。

■ Faye Webster “Cheers”


米アトランタのインディーガールFaye Webster。前作「Atlanta Millionaires Club」が傑作だっただけに今作への期待が大きかったがそれもゆうに超えてくる仕上がりで感激!ヘヴィーなギターから伝わる90sオルタナ。彼女のソングライティング力とメロディーセンスが一発でわかる。Phoebe BridgersやStella Donnellyらとも並ぶ今世紀最重要SSWの一人。

■ Black Country, New Road “Science Fair”


こいつらはヤバい!「ポストジャンル」時代の代表格とも言える、スリリングな展開と緻密な構成。クレズマー(ユダヤ系民謡)やクラシック、マスロック、ノーウェーブと、多岐に渡る音楽的教養によってもたらされるアンサンブルに終始やられっ放しな衝撃の全6曲。これは是非ともアルバムで聴いてほしい。


次回はVirgin Music Japanスタッフ・コジマリのセレクトを紹介します。

毎週更新中のSpotifyで聴けるVirgin Music Japan Weeklyプレイリストも、是非チェックを!

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